CFフランジに使用するガスケットは、通常、無酸素銅(Oxygen Free High Conductivity Copper)グレード、硬度調質された製品を使用します。品質はメーカーにより異なりますが、規格準拠の製品であれば、寸法は各フランジサイズに適合している筈です。材質は無酸素銅を基材に、硬度調質を柔らかくした製品や表面を「Au」、「Ag」などでコーティングされた製品もあります。これらは装置のアプリケーションに従って正しい製品を使用してください。尚、CFフランジに使用するガスケットは酸化が進んだものは好ましくありません。特に超高真空アプリケーションでは、できるだけフレッシュなガスケットを使用します。
【ガスケット挿入】
締結するフランジ規格に合致したガスケットは、CFフランジに正しく置いた場合、微小な座りが認められます。また、その状態で座面に「ガタ」は生じません。ガスケットを置いた際、「径方向に自由度が大きい」、「所々浮いた状態で正しく座面に乗らない」などの事象が見られる場合は正しく締結できない可能性が高いです。
開封したフレッシュなガスケットを使用する場合でも、ガスケット装着前には必ず溶剤を使ったワイピングを行うことをお勧めします。超高真空を扱う系では、汚染由来となる物質は極力排除するという作法です。
酸化したガスケット表面は溶剤ワイピングでは除去できませんが、有機系の残留汚染の除去は可能です。
ガスケットを装着したフランジ面に接続するフランジを合わせます。図に示します手順のとおり、ボルト穴の位相を合わせ、Leak Check Groovesがある場合はこの溝に位相に従います(これは気密シールの本質的な課題ではありません)
次にボルトを差し込んで、内部のガスケットが座面から外れない様、軽く手で締めます。
本編「ガイダンス」の項に示しました通り、CFフランジのシール原理は、フランジ締結ボルトの推力に拠って生じるガスケットのコールドフロー現象です。ボルトの締結は下図を参考に正しく正確に作業します。
締結ボルトへのトルク管理は重要な事項ではありますが、作業空間の制約や装置のジオメトリに拠っては「理想的な締結」は困難な実情が殆どです。やはり「Hands-On」のスキルを要するところです。
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