(a)は逆光電子分光の各イベントをエネルギー準位の観点から説明したものです。
※縦軸がエネルギー(真空準位をエネルギーの基準点としています。)
試料は半導体を仮定し、非占有準位と占有準位間にフェルミ準位が存在しています。
(b)は縦軸が電子の運動エネルギー(Ek)、横軸が光子カウントとした測定結果の例です。
※Ek1,Ek2は(a)の電子1、電子2の運動エネルギーを表しています。
1 電子銃から電子線を試料に照射します(Figure 1参照)
Figure 2の電子1(電子2)が照射する電子を表しており、運動エネルギーがEk1,(Ek2)です。
2 入射電子が試料内に束縛され、非占有準位へ遷移します(Figure 2参照)
非占有準位へ電子1(電子2)のエネルギーが変化しており、
その非占有準位のエネルギーがEb1 (Eb2)です。
3 緩和したエネルギーに対応した波長の光(光子)が発光します。(Figure 2参照)
発光した光のエネルギーhνは hν=Ek1+Eb1=Ek2+Eb2 です。
4 検出光をバントパスフィルターを通して、検出器(PMT)でカウントします(Figure 1参照)
5 上記1~4のルーチンを照射する電子の運動エネルギーを変化させて繰り返します。
(Figure 2(a)のEk1,Ek2のように運動エネルギーを変化させます。)
以上の測定より入射電子の運動エネルギーと発生した光子数の関係が得られました。
エネルギー(波長)は変化させていないため、入射電子の運動エネルギーはどの非占有準位へ遷移したのかと対応し、光子数は対応する非占有準位( Eb= hν- Ek )への遷移確率と比例すると考えられる為非占有準位の状態密度と比例すると考えられます。
※正確には遷移過程の始状態、終状態の遷移振幅を考慮する必要があります。
このことから入射電子の運動エネルギーと光子カウントについてプロットすることにより、非占有準位の状態密度分布がわかることになります。
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